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Author:黒峰月夜
幼きころにライトノベルにはまった人間。
BL&ファンタジー好き。
好きな作家さんは挙げだすときりがないが、痛い話が好み。

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愛は冷蔵庫の中で
『愛は冷蔵庫の中で』 松前侑里 (新書館ディアプラス)
評価:star

<あらすじ>宇宙の果てはどうなっている―?課外授業で訪れたプラネタリウム。生徒に無茶な質問をされて困っていた葉月は、自称宇宙マニアの飛島に助けられる。その彼が臨時教員として同じ寮に越してきた。軽い調子で口説かれ反発する葉月だが、彼の大らかさに次第にひかれていく。だが失恋以来自分に自信が持てずにいた葉月は、次の恋に踏み出すことができず…?「階段の途中で彼が待ってる」の飛島の恋のお話登場。


 これはキーワードを綺麗に使いこなせてたお話だった。主人公・葉月の気持ちが冷蔵庫の中で凍ってるっていうフレーズはなるほどな感じ。でもこの話の最大の魅力は、飛島の台詞と葉月の思考回路に現れるウィットさ。
 スペースシャトルがなぜ地球に戻ってこれるのか?って質問に「大人用の答え教えなきゃな」という飛島。小難しいこといわれるんだって、こっちも身構えるんだけど「スペースシャトルが戻ってくるのは、大好きな地球に帰りたいからだよ」。おお!って思った。答えかたももちろんなんだけど、こっちが大人用ってとこになるほどっと思わされる。確かに小学生に言ったら、子ども扱いされてるって怒り出すね、奴らは。そういうとこが子どもでほほえましいのね。

 飛島先生はあいかわらず純情してる。切ないの抱え込んでるくせに、そういう感情まったくみせないのがヤツのすごいとこだ。この話は飛島のキャラクターに支えられてる点が大きい。
 葉月さんはやっぱり家庭に問題があって、心に歪みがある。それをどうにもできないから恋はしないってとこから始まる。松前さんの話にはよくある、というか共通して言いたいことなんだろうけど、コーリング。葉月も呼ばれてる、お仕事に。こういう考え方は好みです。

 今回は主役二人の交流がいつもよりずっと多くて、恋愛の方が綿密に描かれてた。松前さんの話って甘甘書いてるようにみせかけて、あんまりラブラブしてるように読めないところがすごい。文体のせいなのかなんなのか。でも読み終わって話整理してみると、単なるラブラブ話なんだこれが。摩訶不思議。
愛は冷蔵庫の中で (ディアプラス文庫)愛は冷蔵庫の中で (ディアプラス文庫)
(2005/11)
松前 侑里

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テーマ:ボーイズラブ - ジャンル:本・雑誌

松前侑里 | 01:38:56 | Trackback(0) | Comments(0)
階段の途中で彼が待ってる
『階段の途中で彼が待ってる』 松前侑里 (新書館ディアプラス)
評価:starstar

<あらすじ>母の再婚に反対して家出した早希は現在ゴーストライターの理一のマンションに居候中。もっともらしい文章を書くくせに生活態度がダメダメな理一の世話を焼きつつ穏やかな毎日を送っていた。そこへある日、理一の親友・飛島が押しかけてくる。よく言えば大らか、悪く言えばガサツな飛島に最初は反発する早希。だが、どうやらずっと忘れられずにいた初恋の人が飛島らしいとわかり…!?ラヴァーズ・コンプレックス。


 松前さんがまっとうな三角関係書いてる!って驚いた一品。実際はもっと優しい関係でしたが。

 現実離れしたおとぎ話テイストはいつもの感じ。あ、これいい意味なので。なかなか書けないですよね、こんなふうには。まだ初期作品からの雰囲気が強いお話で、変わったご両親も登場してる。松前さんの書く両親は皆、独身の自由人的色が濃い。自分の人生大切にするってのが全部の作品に共通して語られてるBLらしからぬ主張なんだろう。

 飛島のキャラクターがさえてて良かった。一応脇役なんだけど・・・。飛島がいたから、ふだんの松前作品では見られない攻め・理一の生な感情の発露をおがめて面白かったな。「人が手ぇ出すの我慢して、時間かけて治そうとしてたのに・・・引っかき回したのはおまえだろっ」て、叫んだのはよかった。
 飛島さんは最後までつかめないヤツだった。最後の最後でどんでんがえしが。早希はすぐに分かったみたいだったけど。さらっと語られた飛島の心情が最後まで尾を引いてた。そんなそぶりまったくみせてないのに・・・純情だ。

 早希の親友が合間に書かれてるんだけど、やっぱり早希のこと普通に受け止めてて松前さん色の人物だ。

 地球が好きだってフレーズは、松前さんの他の作品でも見たことあります。いいたいことが一環してるんだろう。ただ理一の人物像が飛島にくわれてた気がするんだけど。

 余談ですが、私も実は階段好き。階段って哲学がある。ひざを曲げて、足をあげて、踏みしめて、体重をかける。この一連の動作って階段でしかあらわれない特殊なもので。階段はこの地球で本当に特殊な場所なんだ。語りだすときりがないうえ関係ない話なのでこの辺で・・・。
階段の途中で彼が待ってる (ディアプラス文庫)階段の途中で彼が待ってる (ディアプラス文庫)
(2004/06/10)
松前 侑里

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松前侑里 | 01:36:42 | Trackback(0) | Comments(0)
プールいっぱいのブルー
『プールいっぱいのブルー』 松前侑里 (新書館ディアプラス)
評価:starstarstarstar

<あらすじ>高校入学と同時に一人暮らしをすることになった夏希。お隣のかっこいいお兄さん、圭介に一目惚れをするが、彼には千晶という美人の同居人(男)がいた。料理も上手で仕事のパートナーでもある千晶に敵うはずがない。圭介と千晶の二人に可愛がられながらこっそり胸の痛みを堪えていた夏希だが、ある日圭介にいたずらでキスをされ…?プールのあるアパート、オゾン荘を舞台に夏希の恋と成長を描く、夏色青春物語。


 これも三角関係っていったら三角関係?でもそう思ってるのは主人公・夏希くらい。

 この話は松前さんお得意の変な人がいっぱいでてくる。コーリングって考えを一番前面に押し出してる話なんじゃなかろうか。夏希のいかにもな青春の悩みをぐるぐる回しながら恋愛について・・・書かれている、うん、一応。
 正直こういう青臭い話はあまり好きじゃない。なおかつこの話、わりと全てが中途半端に終わっている。綺麗な未完成って意味じゃなく。両親との関係にしろ、主人公の将来についてにしろ。あったかい感覚で書き進めていきたかったってのは伝わってくるんだけど、アパートの住民についてさえも中途半端になってしまってる感があった。
 たぶんたんに好みじゃないだけなんだろうが。
 いかにもなテーマを前面に押し出したのが悪かった。いかにもなテーマでも、いつものようにふんわり包んで進めてくれればまだ良かったと思われる。ようは、この主人公を好きになれない。

 「たぶん因果だな。前世でよっぽど悪いことしたんだろうよ」って幸せそうに語った諏訪の台詞はよかったな。表情と。

 この人の書評するとBL小説の書評にならないな・・・。すみません。
プールいっぱいのブループールいっぱいのブルー
(2007/06)
松前 侑里

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松前侑里 | 01:29:49 | Trackback(0) | Comments(0)
カフェオレ・トワイライト
『カフェオレ・トワイライト』 松前侑里 (新書館ディアプラス)
評価:starstarstar

<あらすじ>彼女にふられ黄昏ていた橋の上。真樹は自殺と間違われ、川に落とされてしまう。その勘違い男・裕介は、馴染みの定食屋で見かけるちょっといいなと思っていた相手だった。劇団の座長を務める奔放な父の影響で、演劇も普通でないことも大嫌いな真樹。裕介に恋人がいるのも判り、彼に惹かれる気持ちに蓋をする。だが数日後、実は同じ大学の演劇科講師だった祐介から、公園のポスターを依頼され・・・?


 あいかわらず松前さんは演劇が好きらしい。読み返さなくても分かるけど、この人の書く小説の七割くらいには演劇関係の人間がでてくる。ていうか、芸術関係が好きなのか? 言葉まわしを大切にしているのは読んでると伝わってくるんだけど。

 最初読んだ時は「あれ〜?」って思った。でも二回目読んだらわりと好きになった。わりと、ね。
 今回は作者が書きたいこと書ききれてない感がちょっとただよってる。だから、もうちょっとつっこんで書いたら?って点はいくつかチラホラ。
 始まりはすごくよかった。『たそがれどきには気をつけて』って、劇の台詞から始まる。この台詞だけで、ぱぁっと情景が浮かんでくるからすごい。で、真樹が劇用に作ったっていうパネルの様子とあいまって、なんだか黄昏色のイメージが強い本にしあがっている。だからキーワードにしたかったんだろうカフェオレの存在が薄くなりすぎてて消化不良。いっそカフェオレのエピソードいらなかったんでないの?と言いたい。
 いつものごとく家庭環境のせいで心に問題のある主人公・真樹くん。真樹の歪みについてはエピソードでかなり詳しく語ってあるけど、父親自体の人物像はあまり言及してない。ただ最後の方で父親がラジオ番組にてもらした発言は、話のまとまりにかんでてうまい。あのエピソード一つで父さん出てきてもないのに、真樹が報われた感がただようんだ。ううむ。

 あ、祐介について話してない・・・。この人はもろに松前さんが描く攻めキャラって感じのキャラクターだった。ウィットな会話がうまい人。軽くみせかけてて、実はものすごく優しい。で、まめ。こんな男現実にいたらすごいな、うん。
 二人が互いに一目ぼれ的に出会って、でも受けがそれに気づくのはずっと後になってからで、そんな受けの様子を分かっててじっと待ってる攻め。この構図はもう松前的黄金律ですね。

 やっぱり『星に願いをかけないで』から、ちょっと読みごたえが薄くなってるなぁ。残念。
カフェオレ・トワイライト (新書館ディアプラス文庫 154)カフェオレ・トワイライト (新書館ディアプラス文庫 154)
(2007/02)
松前 侑里

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松前侑里 | 01:18:12 | Trackback(0) | Comments(0)
アウトレットな彼と彼
『アウトレットな彼と彼』 松前侑里 (新書館ディアプラス)
評価:starstar

<あらすじ>恋人との別れ話の最中、隣のカップルの別れ話が人ごととは思えず、つい口を出してしまった皆人。そのカップルの片割れ・善貴と言い争いになり、気づけばふたり、恋人に置き去りにされていた。幸か不幸か、相手は今までの恋人と互いに似たタイプ。だけど好きじゃないから言いたい放題言いあえる。自分たちの欠点を直すため、皆人は善貴とリハビリで付き合うことになるけれど…?書き下ろし。恋のケーススタディ。

 松前さんはわりとかかさず買ってます。独特な台詞まわしや文章リズムを持っていて、さらっと読めるわりに読み終わった後キーワードが忘れられずに残ってしまうところが好み。
 でも最近スピードあげて書きすぎぎみ。『星に願いをかけないで』あたりから、読み返そうと思える作品が少なくなってきてる気がする。うん、さっき言っていたキーワードの威力が低下中だな。

 松前さんの作品の特徴は、ゲイってことがかなり日常的存在に描かれていること。ものすごく当たり前のもんとして描かれている。あともう一つの特徴は、変な人間がでてくること。芸術家さんがでてくるんだけど、なんていうか、うん、規格外?そうやって考えると、本当にファンタジー的というかおとぎ話的小説だ。

 出生が変わってるっていう設定も、いつものこと。この話の場合は、皆人が離婚家庭の子どもで、父親のことで母親に引け目を感じている設定になっている。その家庭環境のせいで、恋愛する時に難ありな心の癖をもってて・・・って、これもいつも同パターンかな。
 わりとくせのある文章なんだけど、するする読めるのが面白いところ。
 クレーンをキリンって言うのは、この人の別の話で読んだ記憶があるんだけど・・・それはおいといて。
 皆人と善貴が互いに惹かれあっていく過程が今回は細かく書いてあった。二人の間が縮まっていく様子は自然で違和感がない。善貴がいつも松前さんが描く攻めのキャラクターと違って、わりかし弱い部分をみせてグラグラ揺れてたのが新鮮だった。受けから影響受けて前向きになるってパターンもこの人の場合珍しい。いつも逆パターン。この話は相互に影響しあっていた。でも、皆人が投げた紙飛行機を拾ってきてるあたりは、やっぱり松前さんの攻めキャラだったな。

 皆人の母親が傘持ち歩かない理由を話してる部分は、台詞に力があった。「天気予報見ないからだよ」って、なんとなく事情は分かっててもこんなふうに言われると切なくなる。

 イラストは山田睦月さんでよくあってます。以前もコンビ組んでたんだけど、松前さんの話にはマッチしてるな。でもやっぱり一番合ってたのはあとり硅子さんだったんだけど。


アウトレットな彼と彼 (新書館ディアプラス文庫 174)アウトレットな彼と彼 (新書館ディアプラス文庫 174)
(2007/12/10)
松前 侑里

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松前侑里 | 01:09:51 | Trackback(0) | Comments(0)