投稿日:2008-02-22 Fri
『臆病な背中』 おのにし こぐさ (新書館ディアプラス)評価:





<あらすじ>飲み会と麻雀に明け暮れる大学生・小嶋は、友人の三上から好きだと言われた。何も期待しないから今までどおりでいてほしい、そう言う三上に戸惑いつつも、小嶋はいつのまにか彼をひどく意識している自分に気づく。不意に仕掛けられる激しく官能的なキスを拒めなかったり、自分だけを特別に見てほしいと思ったり。三上へ向かう、この気持ちは…?大人気作品、書き下ろし続篇も収録して待望の文庫化。デビュー文庫。
じんわり系のBL小説です。ディアプラスの傾向によくあっている作品。
なんで買ったんだったかよく覚えてないんですが、思わぬ拾い物でした。作者がどんなものを目指して書いた話なのかよくわかります。主人公・小嶋と相手役・三上の人物描写が詳細で、そんな二人のキャラクターがお話を動かしていっている。
並みのBL小説って二人の間のせま〜い世界で話が展開していくことが多いんですが、この作品はわりと周囲にも目配せがしてあった。人間関係描くのがうまいのかな。なにげない日常としっかりした人間像で淡々と進んでいくお話。
うん、ほんとに些細な日常が描かれてるんだけど、なんでかすっごく恋愛小説!って感じにしあがってるのがすごいなぁ。なんか情熱的なラブロマンス!ってのではないんだけど、じんわ〜りしみいってくる切ない切ない恋愛が描かれている。わりとシュールなのかもしれない。
あと三上のキャラクターがものすごくいい!しぐさが、言動が・・・っ。『三上はうつむきがちに少し笑った』三上独特のこの笑い方は端々にでてくるんだけど、それが意味深さをさそう。三上の感情がいまいち掴みにくくて、それがお話に不思議な透明感を生んでいるみたい。
で、『期待してない』ってまっすぐ小嶋を見つめて告げる三上。この期待してないをきっぱり二回続けて言わせてるところがナイスだと思う。ものすごく切なくなる。この時点で三上ってわりと底知れなさがあるキャラに感じられてるんだけど、なんとなく痛みが透けてみえる。ううん、うまいなぁ。このシーン、抜群にセンスあります。
小嶋のキャラクターももちろん良いです。罪作りなヤツね。
ただ小嶋の心境を理屈つけて語りすぎな部分がもったいなかったかな。ヤツのつれづれの語りで進んでいく話なので、それが主軸っちゃあ主軸なんですが。
とりあえず読後感は素晴らしい。余韻の残る話。じんわ〜り切ないのが読みたい方にはお勧め。
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