投稿日:2008-02-20 Wed
『唇で壊される』 橘紅緒 (大洋図書) 評価:




19日発売の新刊。
橘さんの作品は雰囲気が好きで、かかさず買います。ただ最近、ん?っていう作品が続いていたので、今回はどうだ?と思いつつ手に取りました。良かったです。最近の作品の中ではピカイチかと思われる。
私立櫻丘学園高等寮と専属契約があまりに良かったので(これもおいおい書評のせます)、続く作品がどうにも期待につぶされてた感があったんですが、今回は大丈夫。私立〜の三作目から、儀楼、つま先に口づけを・・・と、ちょっと期待の方が大きかった。ホワイトハートから出てたのは、わりと好きだったんだけど。
橘さんの特徴はなんといっても、会話の流れや空気が現実っぽくないところ。ライトノベル書きの人はたいてい説明過多になる傾向があるのに、橘さんは見事に逆をいっている。さりげないしぐさや会話で、肝心なところをサラッと説明せずに語るところは素晴らしい。BL小説家としては異質だろう。それを採用してる大洋図書さんはさすが。
橘さんテイストが今回の作品には大きく表れていて、かなり読みごたえがあった。攻めの一途さはもちろん、受けの鈍さもまた絶妙な感じ。智周はちらほら態度にカンナを好きだって表しているのに、カンナは気づいてない。このちらほらさ加減がものすごいいいのです。で、カンナはカンナで鈍いんだけど、ぎりぎりあってもいいかなってくらいの鈍さだ。これがまずい作者だったりすると、無理やり理由こじつけてるだろ!って感じなやり方で受けが相手の気持ちに気づかないふりをしている。あれは人間としてありえねぇ鈍さだ。
しかし作中、カンナが実はセックス未経験なんだって知った時の智周の心境!語られてないんだけど、めちゃくちゃ伝わってくる!いやあ、ニヤケないところがすごいな智周。でも堪えられなくてキスはしちゃう。うん、あれを智周の台詞に頼らず表現しきったところは素晴らしい。
脇役も一元的な人物像で終わっていない。司の人物像がプールシーンの時点でいっきに複雑になって、キャラクターに生身の人間くささが加味されている。
全体的に雰囲気もすごく良かった。ただ、最後の方はつめすぎな気がしたかな。急展開すぎる。そのぶんをエピローグで無理やり押さえ込んだ感じになっているのが少しばかり心残り。
![]() | 唇で壊される。 (SHY NOVELS 195) (2008/02/15) 橘 紅緒 商品詳細を見る |
△ PAGE UP



